鳴き砂(Singing Sand)とは

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歩くとキュッ、キュッと小鳥のように歌う、不思議な砂「鳴き砂」。 その正体は一体何なのでしょう?
実は、音を出す砂は、大きく分けて2種類あります。日本の美しい浜辺で聞ける優しい音と、遠い国の広大な沙漠で響き渡る轟音です。

海辺の歌姫「琴引浜」

琴引浜 日本の海岸にある鳴き砂は、その愛らしい音色から、京都の「琴引浜」のように「琴」の名前がつくことがよくあります。 これは主に石英という鉱物の粒でできており、粒同士がこすれ合うことで、まるで小鳥がさえずるような、可憐な音を奏でます。

沙漠の巨獣「ブーミングサンド」

一方、海外の沙漠には「ブーミングサンド(唸る砂)」と呼ばれる、壮大な鳴き砂が存在します。
巨大な砂山全体が「ブォーーーン」と唸り、 その音は20kmも離れた場所まで聞こえることがあるというから驚きです。
かのチャールズ・ダーウィンも、 『ビーグル号航海記』の中でその不思議な現象について書き残しています。
ネバダ砂漠
この絵はアメリカ・ネバダ沙漠にある唸る砂の山です

中国の鳴き砂

鳴沙山
中国甘粛省敦煌にある、鳴沙山
中国では、千年以上の歴史を持つ古文書『敦煌録』に、こんな記述があります。
悉く純沙聚起。
  この山、神異ありて峯は削成せるが如し。
   その間に井あり。沙それを蔽う能わず。
    盛夏に自鳴す。人馬これを踐めば声数十里を震わす。
     風俗端午の日、城中の子女皆、高峰に躋り一斉に踐下せば、
      その声吼えて雷の如し。
       暁に至ってこれを看れば、峭嶽は旧の如し

(現代語訳:真夏になると自然に鳴り出し、人や馬が踏むとその音は何十里も先まで響き渡る。その声はまるで雷のようだ。)

今でも、この記述がされた山は「鳴沙山」と呼ばれ、人々に親しまれています。

消えゆく鳴き砂

サンディ これほど神秘的な鳴き砂ですが、今、地球規模の環境変化によって、静かに姿を消しつつあります。 その理由は大きく2つ。
  1. 研究対象である「鳴き砂そのものが、開発や汚染でなくなっていくこと」
  2. 「自然な状態での、本来の音を聞くことが難しくなっていること」
です。
このサイトでは、そんな鳴き砂の貴重な記録と、多くの事実を紹介しています。どうぞ、ゆっくりとご覧ください。